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それに懸ける熱意も必要な技量も、相当な物だ。
未だに戦いは続いているが、ここだけは戦いから隔絶された空気が漂っている。
「頑張ってくださいね、プロデューサーさん」
あずさは冬夜の勝利を願いつつ、背もたれに体重を預けた。
「千早、ここは任せとけ!」
満身創痍という言葉が相応しく、右足と左腕を失ったガンプラが、青と白のツートンカラーに塗装された如月千早のガンプラ、Ζガンダムの前に立ちはだかる。
ガンダムエクシアR2をベースに、アヴァランチユニットを装着したガンプラ。
それは千早のプロデューサー……高峰宗一が駆るガンプラだ。
「良いんですか?その状態では、トランザムはもう……」
「構わないから春香ちゃんのところに行け、美希や伊織もいるし何とかなるさ!」
「無茶言わないでよ、もう!」
伊織が間髪入れずに突っ込んだ事に苦笑しつつ、千早はフットペダルを踏み込んだ。
左足を失っている為に変形は出来ないが、まだ間に合う筈だ。
千早の機体が戦域から離脱した事を確認すると、宗一は自爆を覚悟してトランザムを発動した。
傷付いた場所から粒子が漏れ出ているが、宗一は気にせず突撃する。
「何とかなるんじゃなくて何とかするんだけどな!」
「そういうノリは嫌いじゃねえなあ、アンタと初めて意見が合った気がするぜ!」
デンドロビウムにデルタプラスやデスティニーインパルスを始めとした相手のガンプラへ真正面から突撃していく物好きは、どうやら宗一だけではなかったらしい。
盾に貼られている龍を象った自作デカールが目を引く、漆黒のヅダのカスタム機。
土星エンジンを開放している為、彼もまた自爆のリスクを背負っている。
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