76人が本棚に入れています
本棚に追加
「煉って、ノリがわるーい!」
「え、そうなの?」
せっかく見付けたオイシイ話題が、僕のせいで終了してしまった美歩は、つまらなそうに口を閉じてしまった。
「クスッ、若いって良いわね」
「何よ!今さら話し掛けないでよね」
いきなり美歩は訳の分からないことを言い出した。
「えっ?何も言ってないよ」
「うそ、だって!……あれ?聞き違えたのかなぁ?」
美歩は、頻りに辺りを見渡し、首を傾げていた。
(あーあ、美歩は怒って一人でタブレットばかり見てるし、退屈だよなぁ……)
白く曇った窓を手で拭き、濡れた手をジーンズに擦りつけた僕は、まだうっすらと曇っている窓から外を眺めて見た。
車窓から流れ見える景色は、天変地異の前触れなのかと思わせるほど、どこも真っ白く雪が積もっており、楽しくも何とも無い。
昨日の夜は、今日のことを考え一睡も出来なかった。
それもあったのだろう……暖かく、ほどよく揺れる車内に、僕は気が付かない内に……眠ってしまったようで────。
.
最初のコメントを投稿しよう!