第一章・終わりの始まり

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「煉って、ノリがわるーい!」 「え、そうなの?」 せっかく見付けたオイシイ話題が、僕のせいで終了してしまった美歩は、つまらなそうに口を閉じてしまった。 「クスッ、若いって良いわね」 「何よ!今さら話し掛けないでよね」 いきなり美歩は訳の分からないことを言い出した。 「えっ?何も言ってないよ」 「うそ、だって!……あれ?聞き違えたのかなぁ?」 美歩は、頻りに辺りを見渡し、首を傾げていた。 (あーあ、美歩は怒って一人でタブレットばかり見てるし、退屈だよなぁ……) 白く曇った窓を手で拭き、濡れた手をジーンズに擦りつけた僕は、まだうっすらと曇っている窓から外を眺めて見た。 車窓から流れ見える景色は、天変地異の前触れなのかと思わせるほど、どこも真っ白く雪が積もっており、楽しくも何とも無い。 昨日の夜は、今日のことを考え一睡も出来なかった。 それもあったのだろう……暖かく、ほどよく揺れる車内に、僕は気が付かない内に……眠ってしまったようで────。 .
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