第一章・終わりの始まり

11/16
前へ
/911ページ
次へ
「煉、起きて……。ねえ、煉ってばっ……!」 「ガゴンッ!!」 「いっ!」 それこそ、目が醒めるような激痛で目が覚めた僕は、酷く痛む左側の頭を擦りながら美歩を見た。 「お、起きた?──もうすぐ着くらしいよ」 気まずそうに苦笑いをしている美歩は、白々しく僕から目を背けた。 推測では、なかなか起きない僕を起こすために、体を左右に大きく揺すったら…… 思っていた以上に反動がつき、僕が窓ガラスに激突した。……まあ、こんなところだろうけどね。 車内には軽快な曲が流れており、もうすぐ目的地に着くことを知らせていた。 「本日は、ご乗車有り難うございます。まもなく【クレニック前】に到着致します。お忘れ物のないようご注意下さい」 ザワザワと忙しなく動き出した車内に、僕の心と身体が浮き足だって行った。 .
/911ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加