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「うわぁ……東京の寒さなんて比じゃ無いわね」
小さく身をすくめた美歩は、両手に白い息を吹き掛けているにも関わらず、楽しそうに笑っていた。
一面の白銀の世界とは、こういう情況を言うのだろう……。
もう、何もかもが雪の下に埋まり窮屈そうに悲鳴を上げているようにも見えた。
美歩は真っ赤な薄手のダウンジャケットを身に纏いながらも、まだ寒さに震えていた。
「やっぱり長野県でも一緒かぁ……」
……不意に、僕はホームに設置されてある防犯カメラを見上げた。
「仕方ないじゃない、防犯に名を借りた監視システムが、法律で決まったしね」
────そう。
日本は今、近代化に名を借りた恐ろしい情報社会になってしまっていた。
街の至るところに防犯カメラの設置が、義務付けされ情報機関に監視されている。
まあ、それも全国民の衆知の事実なのだが……。
要は、日本全体が誰かに監視されている状態なのだ。
こうやって些か納得出来ない状況に、小さな溜め息を漏らしている姿も、何処かで監視されているに違いなかった。
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