第一章・終わりの始まり

13/16
前へ
/911ページ
次へ
「ほら、煉、早く!次はバスに乗るんでしょ」 「う、うん……?」 (何か良いことでもあったのかなぁ?) あれほど乗り気では無かったはずの美歩が、僕以上にテンションを上げ声を張り上げていた。 (まあ、ごねられるよりかはマシかぁ……) 美歩のテンションに付いて行けない僕は、駅を出て迎えのバスを探し唖然と口を開いた。 「もしかして……あのバスに乗るの?」 送られて来た封書のように真っ黒な車体に、銀色の文字で【ソロモン】とだけ書かれたバスを、僕は駅の出入口の真ん前に見た。 「わっ!なんだか……火葬場に行くバスみたいね」 美歩の何気ない言葉は、バスに乗り込もうとしていた人々の足を止めてしまった。 「ほんとだ……言われて見れば火葬場に行くバスみたいに、陰気に見えますよね」 (えっ!誰?) あの美歩の突拍子のない意見に、賛同する輩がいたとは……。 僕は、興味深げに声がした方を振り向いてみた。 「えっ?」 そこには予想に反し、少し冷たい印象を持つ綺麗な少女が、見た目に野暮ったい青年と、並んで順番を待っていた。 .
/911ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加