第一章・終わりの始まり

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「お、お嬢さん、このバスは火葬場ではなく、クレニックに行くためのバスですよ。ご安心を……」 バスの乗降口で招待状の確認をしていた従業員は、焦ったように顔を引きつらせながらも、丁寧に説明してくれていた。 「す、済みません」 従業員とバスに乗り込もうとしていた人々に頭を下げた僕は、早々に招待状を差し出し確認してもらうと、美歩を引き摺るようにバスに乗り込んだ。 「状況を考えてよ!」 「……ごめん」 さすがに火葬場はマズかったと、美歩が珍しく素直に謝った。 それをいいことに、僕は普段は絶対に言えない小言を言ってやろうと、美歩を見据えた。 「美歩、この前も────」 「だから、ごめんって言ってるでしょ!」 僕は、美歩の迫力に負けてしまった。 「わ、分かれば、いいんだけど……」 美歩から目を反らせ口籠もった僕は、窓から見える景色に目を向けるしか出来なかった。 (何だよ!僕が悪いの?) 落ち込んでいても、やはり美歩は無敵だった。 「彩里ちゃん、俺の席は何処よ」 (んっ?この声は……) 見たくもない窓を眺めていた僕の耳に、聞き覚えのある声が飛び込んで来た。 .
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