第一章・終わりの始まり

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「だから、そんな大きな声を……あっ!」 またしても僕は、彩里さんと目が合ってしまった。 「電車の中でも、お会いしましたね」 「ええ……お騒がせしてすみません」 後ろがつかえている状態では、これが限界だった。 彩里さんは僕に頭を下げると、渡された座席表を頼りに、うるさい真嶋さんを案内しているようだった。 「あれ?あの人、さっきのお姉さんだ」 むくれていた美歩も、意外な偶然に彩里さんの姿を目で追い、慌てて目を反らせた。 「美歩……どうかしたの?顔色が悪いよ?──美歩?」 「えっ!な、何よ!!……あっ、ごめん」 あからさまに様子が変な美歩に、何かがあったのは間違いなかった。 「ん、いや、別に……」 どうしてだろう?……それ以上深く聞いてはいけない気がした僕は、強張る美歩の顔を見ることが出来なかった。 「あっ、中嶋さん。ここみたいですよ」 (あっ、あの子だ……) 僕は反射的に、声がした少女の方へと振り返っていた。 .
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