第一章・終わりの始まり

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「ふーん、やっぱり若い方がいいんだ」 通路を挟んだ隣の席に座った少女から、僕の視線を遮るように顔を突き出し振り向いた美歩に、僕は慌ててまた窓を向く。 「ち、違うよ。聞いたことがある声だなぁって……思っただけだよ」 「ふーん、美人だもんね」 美歩は僕のことを疑いの眼で見ていたが、僕の勘違いでなければ、つい最近とこかで聞いたようなような……。 気になった僕は、美歩の目を盗んで少女を横目で見てみた。 (確か、何処かで……あっ!) そんな僕を不審に思ったのか、少女の隣に座っていた、いかにも真面目そうな青年が、鋭い眼光を飛ばして来た。 (ヤバい、警戒されたかな?) 僕は空かさず視線を外し俯いた。 「なに、また見てたの!……うわっ!なにあの人?気持ち悪い」 少女を振り向いた美歩は、見たまんまのセリフを口にしだした。 「シッ!美歩、聞こえるよ」 僕は美歩の破天荒過ぎる行動に、慌てて腕を引いたのだが……。 「プッ!だって……あれでリュックを背負ったら」 青年が憎悪に満ちた目で、僕たちを睨み付けていることを、美 歩は知らなかったようだ。 .
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