第二章・天国と地獄

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バスは市街地を離れ、更に雪深い山道を十分ほど走っていた。 見渡す限り雪に覆われた真っ白い景色……ゲームへの期待が高まるなか、正直うんざりしていた。 バスに乗り込んだ乗客も、ただ静かに到着を待つばかりで、本当にザバイバルゲームへの会場を目指しているのかと不安になり始めていた。 「ご乗車ありがとうございました。当車はまもなくクレニックへと到着致します。どなた様も……」 僕の不安は見事に肩透かしを食らい、僕たちの期待を乗せたバスは、最終目的地である『クレニック』へ到着したのだった。 「うわぁー!広いね」 背後を高い山で囲まれ、雪に化粧を施されたクレニックは、想像していた数倍は大きな施設であり、美歩は歓喜の声を上げた。 「これ、東京ドーム何個分なんだろう?」 「さあ?広すぎて分かんないよ」 首を傾げながら見上げる美歩の疑問に、同じくクレニックを見上げ困惑する僕。 ──その時だった。苦笑しか出来ない僕の背後から、怪しげな色気を持つ男性が話し掛けて来た。 「東京ドーム三個分らしいですよ」 突然声を掛けられ、驚きを隠せなかった僕は、その男性を慌てて振り返った。 .
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