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大学の講義も終わり、どこかへ寄って帰ろうかと、駅へと向かう僕と美歩は、キャンパスの正門前を歩いていた。
「あっ、そうだ!……ねえ煉、ソロモンって知ってる?」
突然、美歩が何かを思い出したようにカバンの中から黒い封筒を取出し、チラつかせなから僕に声を掛けてきた。
「ソロモン?どこかで……あぁぁぁっ!!」
「な、何よ!急に大きな声を出さないでよ!」
美歩は、僕が発した叫びに近い声に慌てて振り向き、甘い香水の香りが僕の鼻を擽った。
「美歩、当たったんだよ!」
「当たった?何に」
美歩は訳が分からないまま、テンションの上がっていく僕を、外を吹きさらす冷たい風のような目で見上げている。
「―feis mask―だよ!美歩も名前ぐらいは、聞いたことがあるだろ」
僕は、そんな白けた美歩の目を気にする事なく、話を続けていた。
「feis mask?あのネットの中を賑わせていたゲームでしょ」
「うん。それの進化版でリアル・サバイバルゲームの方だけどね」
「リアル・サバイバルゲーム?」
美歩は、興味なさげに僕のセリフを繰り返している。
「そう、その封筒は―feis mask―への招待状なんだよ」
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