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僕のテンションは最高潮にまで上がり切り、人目も憚らず声を荒げていた。
「ふーん、良かったじゃない。じゃ、これは煉が出したものだったんだ」
美歩は下らなそうに、淡いピンク色の手袋をはめた手で封筒を僕に差し出した。
「えっ?興味ないの」
僕は当然のように、美歩も喜んでくれるものだと期待していた。
「リアルサバイバルゲームなんて興味ないし“貴方の欲しかった【あれ】を差し上げます”なんて訳が分かんないし」
(興味が無い割には、内容をちゃんとチェックしてるのに……)
予想に反して美歩の答えは散々たるものだった。
「何も、そこまで言わなくても……」
僕は寂しさだけが押し寄せ、口を閉ざして俯いてしまった。
「……それで、私にどうしろって言うの?」
僕の性格を知り尽くしていた美歩は、落ち込んだ僕の顔を覗き込むように問い掛けてきた。
「この招待状って、ペアで参加しないと、いけないんだ……」
こうすれば拗ねて口を聞かなくなった僕が、話すことを知っていたから……。
でも……僕にとっては無謀なチャレンジであったことには変わりなかった。
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