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「えっ!もしかして、私に参加しろって言ってるの」
「参加費も旅費も、全て僕が出すから」
(ほら、やっぱり怒り出した)
付き合い出して二年も経つと言うのに、僕の意見が通ったことなんて、これまで一度たりとも無かった。
「旅費って、一体どこまで行くつもりなのよ!」
変な意味でテンションの上がっていく美歩から、目を背けた僕は小さく呟いた。
「……長野県」
「えっ!聞こえない」
「長野県だよ!」
僕のそのセリフを聞いた美歩は、呆れたように笑い出した。
「今が何月なのか知ってる?」
「十二月……」
僕の声は……次第に小さくなって行く。
「スキーに誘ってくれるならまだしも、サバイバルゲームをするために、わざわざ長野県まで行くの?」
毎年、誕生日プレゼントも、クリスマスプレゼントも決められず、結局は美歩に欲しい物を聞いて買うだけの僕……。
それが定番となってしまい、プレゼントをあげる意味さえ無くなっていた。
(だから、今年こそは……)
「僕は……僕は美歩と行きたいんだ!」
渾身の思いは、美歩に届いたのだろうか……?
しばらくして、美歩は腕を組んで口を開いた。
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