空白の五年間は気にしないで下さい。

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「…………」 今の時刻は0時ちょうど。ベッドの中で眠っていた俺はいきなり目覚めた。 前世の記憶を思い出したのである。 おもむろに自分の手を見てみる。 「小さいな……」 やはりそう思ってしまう。昨日まではそれが普通だと思ってきた。 あ、自己紹介が遅れたが、俺は酒井雹……それは前世での名前か。 では、改めて……俺の名前はセイム・サンダロード。六大貴族の一人だ。 だが、俺は身分なんざ気にしない。人は生きている限り平等である。 今の地位に媚びて人を見下すような奴は俺が成敗しようと思っている。 前世の記憶を思い出したのはいいが……。 「暫くは、ここの生活を満喫するか……」 「どうしたのぉ……。お兄ちゃん……」 横で眠っていた誰かが目を擦りながら声をかけてきた。 「い、いや。何でもないよレイリ。さ、早くおやすみ……」 「うぅん。おやすみ……」 彼女はレイリ・サンダロード。 俺の自慢の妹である。俺の言うことをちゃんと聞いてくれる良い子である。 金色の髪は肩まで垂らしたストレートヘア。 サンダロード家特有の蒼い瞳。 その全てがレイリの可愛さを際立たせている。 別にシスコンじゃないぞ……。 因みに俺も金髪蒼眼である。 あ、気付いた人もいるかもしれないが、俺とレイリは同じベッドで寝ている。 ちゃんとレイリの布団はあるんだが、レイリが『お兄ちゃんといっしょに寝たいの!』と言って駄々をこねるので、最近はずっといっしょに寝ている。 ……別にいっしょに寝ているからって何も起きないからな。 だってレイリは2つ下の妹だぜ? 恋愛感情わかねぇよ。 この世界では一夫多妻と兄弟愛が認められている。 レイリが俺に恋をしない事を祈るしかない……。 「さて……クソ爺の所に行くか……」 俺は神から貰った知識で『転移』の魔法を調べた。 ふむふむ……こうやるのか。 「レイリは寝たかな……?」 「スゥスゥ……」 うん。寝息をたてて寝ているな。 クソ爺の座標特定。 じゃあ、遠慮なく── 「『転移』」 「よぉ。久しぶりだな」 「うぉ!! ……いきなり現れるな……。びっくりするじゃろうが……」 俺は神様の部屋に転移した。 オイオイ……コイツの部屋散らかりすぎだろ……。
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