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「ちょっと色んな物を創りに来たんだよ」
『色んな物……とは?』
この虎……嫌な質問をしてくるな……。
本当の事を言うつもりは毛頭ないし、かと言って嘘を言うのもな……。
仕方ないな……。適当に誤魔化すか。
「人には言えない物なんだよ」
『ほう。そんなに危険な物なのか?』
ここは真実を明かそうか。
「あぁ……。今から俺が創るのは、この世界を滅ぼしかねない究極の物だ」
『そんな物を此処で創るのか!?』
「心配すんな。別に兵器とかじゃない……。そうだな……便利な道具、とでも思っておいてくれ」
この世界をいきなり破壊するのは気が引ける。
別に全く壊す気がないけどな。
『便利なのに世界を滅ぼす物なのか?』
「ああ……。量産されれば一国は余裕で潰せるだろうな……」
完璧に複製することは必ず出来ないだろう。
さらに、俺の能力がバレて家族を危険にさらしたくないからな。
『お主は……いったい何者なのだ?』
「そうだな……。俺の事を詳しくは言えないが、お前らに害を成すものではない、というのは信じてくれ」
この虎からは殺意というか……戦闘意欲が全く感じられない。
多分今コイツは相手の実力をはかってるのだろう。
うん。賢明な判断だと思う。
『ふむ……私にその創造した物を見せてはくれないか?』
う~ん……。別に魔物が見ても悪用はしないか……。
「OK。見学を許可しよう」
『感謝する』
意外と義理が固そうだな。
虎はその巨体でおすわりして、俺の方も見つめていた。
そんなに見るなよ……興奮──しねぇよ。
「まぁ……始めは……これだな」
俺は手元に2つの槍を出した。
美しく伸びた長細い槍と、
何の装飾も無いのに何故か神々しい三ツ又の槍。
2つとも神話で登場したから出してみた。
『それは……何だ?』
「あぁ。これはブリューナクとトリシューラといってな、細いのは投擲すると何でも貫く『必貫』の能力があって、三ツ又のは傷の再生を不可にする『神殺し』の能力がある物だ」
……自分が創っといて言うのもなんだけど、正直鬼畜な武器だと思う。
『ほう……武器の名前は聞いたことあるが……』
「そりゃあ聞いたことあんだろ。神話の神の武器の名前だからな。能力は勝手に付けたけどな」
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