空白の五年間は気にしないで下さい。

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着るものか……ふっふっふっ、どうせなら……。 俺はあたかも空間魔法で出したかのように創造してある服を出した。 「な、何故私がこんな服を着なければいけないのだ!?」 俺が渡した服は── ──メイド服(笑) 「別に良いじゃんかよ~。着てくれよ~」 「い、嫌じゃ! 私は絶対に給仕なぞせんぞ!」 給仕? コイツ誤解してないか? 「誰が給仕なんかさせるかよ。俺はただ……」 「ただ?」 そう。俺はただ── 「──メイド姿を見て萌えたいだけなんだ」 「何だ……そんなことか、じゃないぞ!? 明らかに不純な理由ではないか!?」 と言いながら木陰から出てきた。 俺は慌てて虎から目線を背ける。 「何故目線を背けるのじゃ? ……ハッ!」 気付いたようだな……。 俺は虎に背を向けながらずっと訊き忘れていた事を訊いた。 「お前に名前はあるのか?」 「二つ名はあるが……私個人の名前はないな」 「俺が名前を付けてもいいか?」 「え? 付けてくれるならそれ以上に嬉しい事はないが……」 よし。決定だな。 勢いで名前を付けてやると言ったのはいいが……正直何も思い付かない。 どうしたもんか……。 「どうした? 早く名前を付けてくれ♪」 「まぁ、待てって。……そういえば、お前の二つ名は何だ?」 「私の二つ名か? 私の二つ名は『森の鬼神』だぞ」 うわ~。むっちゃくちゃ強そうだな……。 あ、読者の皆さんに言うのを忘れていたが、二つ名というのはSランク以上の人間か、強すぎてランクの付けられない魔物に付く称号のような物である。 つまり、コイツはZランクより上の存在であるってこった。 「早くしてくれ……。名前♪ 名前♪」 キャラがちょっとだけ崩壊してる気がするな。 『森の鬼神』か……。 森が『フォレスト』だから……。 「よし! お前の名前はレストだ! これからよろしくなレスト」 「レスト……レストか……。えへへ……名前付けてもらっちゃった♪」 もうキャラが完全に崩壊してるな。 グレイドタイガーの変異種のレストが仲間になった。 あ、ドラ○エみたいと思った奴……その通りだ。 「さてと……。早くこの服を着ろ」 「うっ……。仕方ないなぁ……」 後ろから衣擦れの音が聞こえてくる。 何故だろう。微塵も変な気持ちにならない。
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