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「……で、頼みたい事があるんだが──」
「良いぞ」
「──そうだよな。そんな簡単に……受けちゃったよ!?」
まだ内容も説明してないのにな……。
「セイムの頼みなら何でも聞くからな」
レストは笑顔で俺に向かって言った。
な、何でもって……。顔が赤くなるぜ……。
「じゃ、じゃあ、この子と一緒にお風呂に入ってくれないか?」
そう言って、俺は俺の後ろに隠れていたセイアを前に出す。
「こ、この子は……?」
「ああ、俺の娘だ」
ゴウッ!!
な、何だ!? いきなりレストから黒いオーラが吹き出したぞ!?
「セイム……それはどういう事だ……?」
いやぁ!? 目が怖い!! 物凄く目が怖い!!
「いや……色々と事情があってさ……」
俺は全身に汗をかきながら言った。何で!? 何でレストは俺の本気の殺気に匹敵するんだ!?
「その事情とやらを……ゆっくりと説明してもらおうか……」
首に剣を突きつけながら言うセリフではないと思います。ハイ。
「いや、ただ依頼で「まさか依頼で他の奴とゴニョゴニョ……」たまたま出会って「で、出会い頭にやったのか!?」俺の話聞いてねぇだろ!!」
「キャフン!?」
俺がレストの頭に拳骨してやると、結構……いや無茶苦茶可愛い声を出して悶絶していた。
「い、いきなり何をするんだ!?」
レストはぷっくりと膨れ上がったタンコブを手で押さえていた。自業自得としか言い様がない。
「お前が俺の話を聞いてなかったからだろうが」
「なっ!? ちゃんと聞いてたぞ!!」
「ほぅ……じゃあ、俺はセイアを何処から連れてきたんだ?」
「えっと……確か──」
レストは一瞬考えるような素振りをしてから言葉を紡いだ。
「──不倫した相手から」
「オーケー、俺落ち着こう。意味が分からない言葉が出てきたが、俺落ち着こう」
待て待て待て、おかしすぎるだろ。俺の話の何処から不倫なんて言葉が出てくるんだ?
「え? 間違ってたのか?」
「ああ、何もかも全て総合して間違っていた。俺は依頼先のラントリア渓谷行って、依頼の原因で捨てられていたこの子を娘にしただけだ。オーケー?」
「お、オーケー……?」
レストはまだ訳が分からないという顔だった。それにしても不倫てどういう事だ? 別に付き合ってる奴が居るわけでもないのに……。
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