空白の五年間は気にしないで下さい。

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俺は右手に赤黒く禍々しい剣を。 左手に真っ黒な剣を出した。 「何だ……ソレは……?」 と言いながらハスラは右手にあるサーベルを構えた。 「手の内を教えるほどバカじゃない、ぜ!!」 俺はハスラに向かって真っ黒な剣で斬りかかる。 当然のように、その細いサーベルで受け止められた。 「へっ……やるね!」 「はっ! ……そちらこそ!」 俺はひたすら真っ黒な剣でハスラに斬りかかる。 もう見切られた様で、少し体を横にずらして避けようとしたが。 「ぐはっ!! な……何故だ……?」 ハスラの右腕は無かった。俺が斬り落としたのである。 しかし、ハスラは完全に避けたハズと思ってるらしい。 やれやれ……少し種明かしをさせてもらうか。 「この真っ黒な剣はな、『ティルヴィング』って言うんだよ。能力は『呪い』だ」 「『呪い』……?」 斬られた右腕を押さえながら訊いてきた。 「そう『呪い』だ。この剣に触れた相手にありとあらゆる『呪い』をかける事ができるんだ。触れたのが相手の持っている所有物でも可能なんだ。実際に今お前がかかっている『呪い』は"幻の呪い"だ。お前に幻覚を見せる『呪い』だ。つまり、お前はもう俺に勝てない」 この剣に触れただけで『呪い』をかけられるんだから実に鬼畜な武器だと思う。 「だから、この家から出てけ。素直に出ていかなければお前を…………殺す」 俺は殺気を込めた目線でハスラを見た。 この場面で出ていかなければ、ただのバカだって事だ。 「ふはははは!! 手の内が解れば対処法はあります。貴方なんてすぐひねり──」 ドッ!!…… 俺はありえない速度で、右手にある赤黒い剣でハスラの腹を貫いた。 「おや? あまり痛くないですね。黒い剣に比べて能力が強くないんじゃ──」 「──喰らえ。『ダーインスレイヴ』」 俺がそう言うと、刀身が紅く染まった。 「いったい……何を……っ!?」 「気づいた様だな……」 「貴様……私の血を……」 そう『ダーインスレイヴ』は血を求める剣。俺が命令すると相手の血を徹底的に喰らい尽くす剣である。ある意味コレもチートである。
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