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「ん~。久しぶりだなぁ~」
俺はあるところに来ていた。
もちろん自分の実家である。
あの日……魔王の手下が俺達の家に襲ってきた日から10年経った。
あの事件は都の王にも伝わり、魔王軍に対しての厳戒体制を強いていた。
そのお陰で、魔王軍はそれ以降責めてくる事は無かった。
そして俺は家から出た後、色んな国を跨いで旅をしていた。
色んな事象や物事を見て、自分の創造のヒントが見つからないかと思ったからだ。
実際に色んな遺跡を見て、昔の絵に描かれている古代の武器を創造したりしていた。
そして、人との出会いを楽しみながらこの10年間過ごしてきた。
「さて……行くか……!」
俺は、サンダロード家の門をくぐった。
レオンside
「…………」
私は今、自分の頭を疑っていた。
私には息子が居ない筈……なのに、いきなり頭の中に息子の記憶が出てきた。
セイム……か。
あの夜……ハスラの襲撃から10年は経っていた。
あの夜は不思議な事ばかりだと思っていた。
私より強い奴にいきなり刺されて……そこからの記憶が飛んでいた。
次の日に私が起きた時にはハスラは居ず、私の傷は完全に癒えていた。
妻も娘も昨日の事はほとんど覚えてないと言っていたので、"他人"である誰かが倒してくれたのだろうと思っていた。
しかし、今蘇った記憶には私の息子……セイムが全てを終わらしてくれたらしい。
今、私が思っている事は……。
あの夜……セイムを拒絶したことを後悔している。
私達を守ってくれた息子を、人間離れした化け物だと思った事に後悔している。
言うならば、命の恩人なのだ。
感謝してもしきれないくらいの筈なのに、あんな事を言ってしまった。
──本当に後悔している。
今日、記憶が蘇ったという事は……セイムが帰ってくるのだろう。
レイリの誕生日毎に、庭に置かれていたレイリへのプレゼントも恐らくセイムだろう。
「さて……宴の準備でも──」
バンッ!!
「あ……あなた……」
「い……いきなりどうしたんだ?」
我が妻、エルスが扉を思いっきり開けて飛び込んで来た。
大体の理由はわかるがな。
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