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まぁ……コイツから訊く方が早いか。
「セイム! あそこに侵入者が居る! しかし……娘を盾に取られて……何も出来ずに……!」
いやいやいや。アンタ何もしてないじゃん。
しかも、俺は背中でスゥスゥと眠っているレイリを盾に取れないし。
「なんて卑怯な……! 貴様それでも人間か!!」
偽者も父さんに乗っかって俺に暴言を吐いてきた。
いやいやいや。俺から息子の座を盗ろうとしているアンタより卑怯ではないと思うんだけどな!
「……なら正々堂々勝負してやるよ。お前が勝ったら、コイツを大人しく引き渡そうじゃねぇか。俺が勝ったら……」
「……お前が勝ったら?」
「……俺の質問に絶対に答えろ」
「そんな事でいいのか?」
コイツ……事の重大さがわかってないのか……?
必ず質問に答えるというのは、ある意味一番キツい事なんだぞ。
まぁ……バカだから良かったか……。
「審判はレオン・サンダロードで……勝ち負けは気絶した方が負けでいいか?」
「もちろんいいさ」
「わ……私がやるのか!?」
父さんはいきなり自分を指名された事にビックリしていた。
いや。当たり前だろ……。
このメンバーを考えて、他の誰が審判をやるっていうんだ。
「うむ……仕方ない……。両者! 準備は良いか!」
「もちろんだよ父さん!!」
「俺も準備は良いぜ」
俺はレイリを邪魔にならない所に寝かせた。
「では──始め!!」
ヒュッ、ドカッ!!
シーン…………
ん? みんな何でそんなに静かなんだ?
因みに今起こった事は……。
転移で偽者の後ろに行く。
その後、手刀で首の後ろを叩く。
偽者は気絶する。
父さんと母さんは口を開けてポカーンとする。
……という感じだ。
「ん……。こ……ここは……?」
お、レイリも起きたようだな。
俺はレイリの横まで転移で移動して言った。
「まだ寝とけよ……。まだ魔力回復してないんだろ?」
「うん……って! 何なのこの状況!?」
そりゃ見たら驚くか。
そんなことより──
「早く判定をお願いします」
俺はお父さんに向かって言った。
「……はっ!? 勝ったのは、謎の黒ローブ……だ」
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