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「へ……? 勝負って何? それにあそこで倒れているのは……」
「それは、俺が訊けばわかる」
俺は気絶している偽者の方までゆっくり歩いていった。
「おーい。起きろ~」
「あばばばば……ハッ! ここは何処だ……」
いちいち叩いて起こすのが面倒だったので電流を流した。
「ここは庭だ。そしてお前は俺に負けた。わかったか」
「……そうか。なら、どんな質問にも答えよう」
その心意気は良いが、今からお前をどん底に落としてやる……。
「じゃあ嘘をつくなよ? いいな?」
「ああ。必ず嘘はつかないと約束しよう」
よし! 確認も取った……。
これで何の憂いもなしに質問できるぜぇぇ!!
「じゃあ訊くぜ……お前は誰だ?」
「私か? 私はセイム・サンダロードだ」
「え!? あに……お兄様なの!?」
後ろでレイリが驚いている。
コイツ……!!
「……嘘をつくなと言った筈だ」
俺は、ただのナイフを出して首に突きつけた。
「お、俺は嘘なんかついてないぞ!! 何か根拠でもあるのか!!」
「おい! 嘘をついていないと言っておるではないか!! 離してやれ!!」
父さん……まだコイツの嘘に気づかないのかよ……。
とか言っても、俺以外皆気づいてないみたいだけどな。
「丁度良いから俺の名前を言ってやるよ……。俺の名前は──」
俺は黒いローブを脱ぎ捨てて偽者に向かって言った。
「──セイム・サンダロードだ」
シーン…………
あれ? 何でまたこんなに静かになるんだ?
「嘘だろ……! ほ……本物……!」
「おい! 今自分で偽者だと証明したな?」
「あ……!」
今気付いたようだがもう遅い。
「セイムが……二人?」
「アンタはそろそろ気付け!!」
父さんは変な事を言っていたので、ツッコンでしまった。
何なの? 父さんバカなの? 死ぬの?
「ほらよ。コレが証明だ」
俺は亜空間からある二つの剣を出す。
……そう。魔王の部下のハスラを倒した、ティルヴィングとダーインスレイヴだ。
「おお……。その剣はまさにセイムが使っていた剣だ……」
やっとわかったか……。
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