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「リクエストが多いのう……」
「つべこべ言わず……さっさとやれ!」
「ひっ!? ちょっと待っとれ……」
クソ爺はブツブツと呟いていて、手に何かを光を集めていた。
……端からみると変なおっさんにしか見えないな……。
「……貴方のお名前は何ですか?」
リリエルが微笑みながら訊いてきた。
あ、そういえば言ってなかったけ。
「俺の名前は酒井雹だ。よろしくな」
これから色々お世話になるだろうな……。
と、思い俺は手を差し出した。
「私はリリエルです。こちらこそよろしくお願いします」
リリエルは俺の握手に応じてくれた。
そんなこんなでリリエルと気が合い、世間話をしていると……。
「ふぅ……やっと準備が整ったぞい」
「へぇ~そうなんだ~。アンタも苦労してんな……」
「準備が整った──」
「そうなんですよ! それなのに後始末はいつも私の仕事なんですよ……」
「準備が──」
「アンタの気持ち良くわかったよ……。今までよく頑張ったな」
「準──」
「グズッ、そんなことを言ってくれたのは……グズッ、あなたぐらいですぅ……」
「じ──」
「泣くなよ。全てはあのクソ爺が悪いんだからさ」
「ワシの話を聞けぇぇぇぇぇぇい!!」
「「あ、いたんだ……」」
「うおおおぉぉん!! お主達ワシを虐めて何が楽しいんじゃ!!」
うっさいなぁ……。せっかくリリエルとの世間話が盛り上がっていたのに……。
「へいへい。準備整ったんだろ?」
「……うむ。このカプセルを飲んでくれい」
俺はカプセルを五個ぐらい貰った。
こんなにも飲まなきゃいけねぇのかよ……。
「わかったよ。あ、リリエル。水ちょうだい」
「はい」
そう言って何処からか水を出して、俺に渡してくれた。
「お、ありがとよ。それじゃ……」
俺はカプセルを口の中に放り込み、水でそのカプセルを胃の奥に流し込んだ。その時……。
「……っ!?」
体を構成する何もかもが変わった気がした。
目は地平線まで見えるようになり、耳は血液の流れる音まで聞こえ、筋肉は引き締まっているが軽く岩は潰せそうな気がする。
それと、血液と共に体の中を駆け巡る物があった。
多分これが魔力なのだろう。まだ魔力の扱い方がわからないなぁ……。
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