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「さて、さっさと契約するぞ」
俺はそう言って右手を前に差し出す。
「何故、手を差し出してるのですか?」
「へ? 握手。契約の握手」
コイツは契約の仕方を知らないのか?
「契約は…………キスでするものなのでは?」
「えええぇぇぇ!!??」
この悲鳴は俺の悲鳴じゃない。
この悲鳴の出所は……
「セ、セイ? そんな事しないよね……? しないよね? したら……ふふふふふふ」
……変な邪気を纏っているルタである。
怖ぇ!? ルタの後ろから何か黒い物がいっぱい出てるぞ!?
「ふふふ…………」
『山の鬼神』……もとい、美人さんは少し笑っていた。
なるほど……美人さんは俺達をからかってんだな?
「ルタ……さっきのはコイツの冗談だ。決して真に受けるんじゃない」
未だに、黒いオーラを吹き出しているルタに言った。
コレが……見える殺気というものか……!!
※ 違います。
「ふぇ? 冗談……? な、なーんだ冗談だったんだ……。良かった……」
黒いオーラが消えて良かった……。
「そんな事よりさっさと契約するぞ」
俺はまた手を美人さんに差し出す。
「はい」
今度はふざけなかったようで、俺の差し出した手を握った。
その瞬間、握手をしている部分から淡く、黒い光が溢れでてくる。
コレが……コイツの魔力か……。
暖かい……まるで母の慈愛のような感じがする。
黒い光が収束したら、俺は手を離した。
「これで……契約は完了だ」
「凄い……!! いったい、貴方は何者なんですか……?」
あ~、多分契約したから俺の魔力量がわかったのかな?
俺と契約したら、その契約した奴は魔力が実質無限になるからな。
でも、俺はその事を一生誰かに言わない気でいるから、ちょっとだけ釘を刺しておくか。
《おい、聞こえるか?》
近くにルタが居るので念話で話しかける。
《ええ、聞こえますよ》
《俺の事は出来るだけ口外しないでくれないか?》
《何故でしょうか?》
ごもっともな疑問だな。
《俺は……静かに暮らしたいんだ。……ま、世界に危機とか起これば助けに行ったりするけどな》
《ふふ……やはり、貴方は面白い方ですね。わかりました。貴方の事は口外しないと誓いましょう》
《ありがとう……》
やっぱコイツ良い奴だ……。
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