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「さて、そろそろ帰るか」
もう用事は済んだし、別にやることもないだろう。
「ちょっと待ったーーーー!!」
「ん? ルタ、どうした?」
俺の肩をガシッっと掴んで引き留めた。
なんか肩に入れられてる力が半端ないんだが……。
「まだ、『山の鬼神』さんの毛を貰ってないよ?」
あ、話に流されて忘れてた。
「おい、コイツにアンタの毛を渡してくれ」
「いいですよ」
髪の毛を一本プチッとちぎってルタに渡した。
「ありがとうございます!!」
ルタは美人さんに向かって深々と頭を下げた。
「いえ、当たり前の事をしただけですよ」
この美人さん……マジで優しいな。
「じゃあな、ルタ。俺は正体を隠すと思うけど、学園でまた会おうぜ」
「え!? セイも学園に行くの!?」
いきなり、両肩を掴まれて揺さぶられた。
いかん……吐き気が……。
「あ、ああ……」
「やった!! ……でも、正体を隠すってどういう事?」
やっぱり、そこの部分に疑問を持ったようで、首を傾げながら訊いてきた。
ぐふぁ……可愛い。
「そのまんまの意味だ。俺は、髪の色や目の色を変えて、偽名を使って学園に行くから俺の正体をみんなには言わないでほしい」
名前は転生前の名前を使うつもりだ。
「わかったよ。……でも、何でそんな事を?」
また首を傾げながら訊いてきた。
くっ……コイツは俺の理性を壊す気なんだろうか……?
「だって、その方が…………面白いだろ?」
俺はとびきりの笑顔でルタに微笑んだ。
「はは……セイらしいね……」
何で顔を赤らめて、そっぽ向きながら話してんだ?
さて、ここでギルドマスターらしい事をすっかな。
「なぁ、ルタってギルドに入ってるか?」
ギルドへの勧誘を始めるぜ!!
「ん? 別に入ってないけど……」
「じゃあさ、俺のギルドに入らないか?」
ルタを勧誘すれば、俺のギルドの癒し枠が埋まるんだな。
「別にいいけど……セイはどこのギルドなの?」
「…………」
俺は黙ってしまった。
別に、ギルドの場所とかを言いたくない訳じゃない。
俺はあることを忘れていたんだ。
とても大事で……決して忘れてはいけない大切なもの……。
ギルドの名前考えてなかったや……。
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