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光が収まると、そこには人化する前のベアがいた。
みんなにはわからないだろうから説明しよう。
丸々とした可愛い耳で、目は真珠のようにクリクリとしており、手や足には可愛らしい肉球があり、全身に黒い毛を纏っている。
一言で表すと……むっちゃ恐い熊だな。
さて、王様とメイはどんな風になってるかなぁと……。
「…………」
「…………」
案の定口を開けてあんぐりしてるな。
『あれ? 元に戻りましたね……何故でしょう?』
ベアは元に戻った事に疑問を感じたようで思案していた。
「あぁ、それはだな……お前が本気で怒ると元に戻るようにしておいた」
『なるほど……』
実を言うと、元に戻る方法はそれだけじゃないんだけどな。
俺が戻ってよいと心から許可すれば元に戻る事もできる。
さっき戻らなかったのは、俺が心から許可せずにからかっていたからだ。
俺は心の中で"元に戻れ"と念じる。
すると、またまたベアの体から大きな光がでる。
それで元のベアに戻った。
「……よし! これで、ベアが『山の鬼神』っていう証明はしたぜ?」
「そ、そうじゃな……。これでは認めるしかあるまい……」
そう言って書類にハンコを押してくれた。
「報酬はもうお主のギルドに送っておいたから確認しとくれい」
お、ありがたい。今からギルドに行くつもりだったんだよな。
「ありがとさん。……ほら、お前も俺のギルドに行くぞ」
俺はメイのローブの頭の方を掴む。
「え? 私は国王の警護が──」
「転移」
え? 無駄な話なんか聞く耳持たないよ?
て事で俺のギルドに転移してきた訳だが……。
「やっぱ賑わってねぇな……」
「当たり前でしょ? まだ昨日出来たばかりなんだから」
メイはローブを外して、自分の素顔を晒している。
今ここには、メイの顔を知る者しかいないからだ。
俺とフォンと受付嬢だ。
受付嬢は王様が決めた者しかなれないらしく、強さはもちろんのこと、知力や可愛さも最高クラスである。
俺は最高の奴をよろしくと言ったら、Xランクの奴を寄越してくれた。
これで俺のギルドには強い奴しか居ないな!!
フォンが何か包みを持ってこっちにやって来た。
「セイム様、セイム様宛に国王様から贈り物がありますが……」
「お、それクエストの報酬だ」
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