第一章

8/10
前へ
/35ページ
次へ
部屋の中にある救急箱を取り出して蓋を開ける。 この鼻につく独特の消毒液の匂い。 箱の中から絆創膏を取り出し、手の甲に慣れた手つきで貼り付ける。 でもそんなのを貼る必要なんてない。 人を殴りなれた拳。 人を蹴りなれた脚。 だから本当は絆創膏なんて必要ない。 一応つけるだけ。 傷を守るためではなく、これをつけておくと誰も近寄ってこないから。 そのために今日も絆創膏を無駄に使う。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加