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異世界に飛ばされました
いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌ニャルラトホテプ!
・・・俺の心が震えたのは一話だけだったと思った。
そんなことを考えている俺、霧谷紀17歳。
とある日、いつもと同じように親友二人と一緒に帰路についていた。
「・・・聞いてんのかノリ?」
そう言われ左を向くと、俺の親友である渡辺智一(わたなべともかず)がイケメン顔を振り撒いていた。
「俺はノリなんて名前じゃない、紀(かなめ)だ、紀」
もう何百回と続けている会話にため息を吐く俺。
ノリってのは俺のあだ名らしいのだ。ノリ→紀。手元の携帯かPCで変換してみろ。わかりやすいだろ?
「え~?もう昔っからなんだから諦めた方がいいよ、ノリ?」
イケメンの奥から顔を覗かせたのは、これまた親友で美少女の逢坂凛。遠坂ではないぞ。
「だいたい俺は海苔が嫌いだ。だからその名前で呼ばれるのは嫌だ」
「アクセントが違うんだからいいじゃないか」
佃煮は旨いと思うんだがな………そのままはどうも食えん。
「そのわりにノリって呼ばれるときあんま嫌そうな顔しないよな、お前」
凛が確かに、と言うのを後目に教室での俺を思い出す。
「カズ、凛。お前らだからその程度なんだよ。クラス違うから知らないだろうがよ」
左方にいるイケメンと美少女に言う。自分でも少し不機嫌になっているのがわかる。
「ほらノリ、また怖い顔してんぞ」
そんな俺をカズは制してくれる。のだが、クラスが違うと教室内ではそうもいかない。
「いつもすまん…………?」
不機嫌になると俺は眼がかなりきつくなるらしい。と物思いに耽っていると、目の前が裂け、俺たちは白い光に包み込まれながら裂け目に吸い込まれていった。
吸い込まれ、眩しさに目を瞑りながら俺は、こんな事を考えていた。
いつの日か読んだ、携帯小説のようになるのではないか、と。
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