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「実は、帝の間で闘争が水面下で勃発しました」
「ふーん」
心底どうでもいいわけだが。
「数いる帝の中でも私は一番弱いのです。ですから、他の帝に負けないために修業を兼ねてこの森で隠れていたのですが・・・」
「運悪く龍の領域に入ってしまったと」
「・・・はい」
なるほど、セイバーの方を向くと、こいつとっちめたったと言いたげに胸を張っている。
「なるほどなるほど、悪いのお前だったな」
「ぅく・・・」
目尻に涙を溜めているシャルロット。あっちのシャルと重なって罪悪感も少し湧くが、否。俺は悪くねぇ。
「一人で何とかしようとするからだろが。誰かに頼るってのは考えてなかったのか?」
「・・・迷惑になるかと。それに命の危険もありますし・・・」
「・・・それだけか?」
そういえば、こいつは地球にいたときの俺に似ている。
「へ?」
迷惑を掛けるまいと思った行動で自滅してんだ。結果的に、周囲には誰も居なくなる。
「迷惑なんて掛けてなんぼだろ?頼りになるやつがいないなら目の前にいるあいつらに頼んでみろよ。俺は弱いしな。っつかよぉ、大体俺はシャルロットの命助けるために命張ったんだ、今頃貴方には迷惑掛けたくありませんとか言うんじゃないだろうな?」
「ぇと、あの、その」
「俺は帝かなんだか知らねえが、うじうじしてたりおどおどしてるやつ嫌いなんだよ。もっと冷静に慎重になりやがれ、はっ倒すぞ」
とりあえずシャルロットに今までの怒りをぶつけた。運動以外の面において、優れているのは大体女だが、女も男も出来るだけ平等に扱うのが俺の解釈だ。嫌いなやつには別だが。
「ちょ、紀さん言い過ぎじゃ・・・」
アネットがハラハラしながら俺を止めようとしているが、もう俺は止まってるし、何より撤回する気はない。セイバーも無言であるが、俺の意思を汲み取ってくれているようだ。
「・・・いえ、紀さんの言うことは極めて正論です」
自分が全て悪いとかいう加害妄想。
「・・・なんか言うことあんだろ」
その言葉を聞かないことにはな。
「えっ」
「ちょ、紀さん鬼畜過ぐる」
わからないならそれでも構わんさ。
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