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「紀、と言ったか、少年」
「ああ、そうだが」
目の前のまっくろくろすけは、あたかも壮大に見えた。
「我、少しの間だったが、とても気に入った。紅龍がそちらにいるのも気になるからな。どうだ?契約しないか?」
スライムに契約紋が浮かぶ。触ればいいのだろうか?
「わかった。どうすればいい?」
スライムはマド◯ンドをつくり、紋を指差した。
「触ればいいんだな?」
あの痛いのはちょっとゴメンだが、仕方なし。
スライムに触れると、腕が一瞬で飲み込まれた。というより、黒龍に引っ張られた。
「うおっ!?」
思わず床に手をつく。
「・・・本当なら床に腕がのめり込んでると思うんだが」
「うむ、音もなく咀嚼させていただいたぞ」
・・・・・・・・・今なんて?
「契約完了だぞ。腕は生やしたから問題ない、安心しろ、紀少年」
肩口にでろりとくっついている黒龍。腕を見てみると、黒く施された魔術回路のようなものが刺青のようにそこにあった。
「・・・俺、どんどん人じゃなくなってね?」
「大丈夫じゃ。人でなくなったら、私が籍を入れてやる」
「・・・冗談は効かないぞ」
視線を向けるだけにしておく。何より先に、寝ることが先決だからな。
「いつまででろでろしてんだ、この核なしのまっくろくろすけが」
「この場所が気に入ったのだ」
肩にでろでろしているスライム。服とかについてるんだが。
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