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燃える町、あふれかえった野獣。ところどころで魔獣は人々を食い漁っている。
そんな中を一人の少年は少女をおぶって走っていた。少年のほほには返り血が付着し、
瞳には恐怖が宿っていた。
息は絶え絶え、しかし決して歩くことはない。
おぶった少女の腹部は出血しており、服は真っ赤に染まっている。
「クルス・・・もういいよ・・・」
背中に負ぶわれた少女はすでに自分の運命を悟ったのであろう。
息も絶え絶え自分をおいてゆけと必死に伝える。
「大丈夫だよ・・・もうすぎだからねシリア。」
少年は、そんな弱気な少女に一目むけると前をむいた。
とはいえ、少年はあせっていた。
走れど走れどうずくまって動かない人、人、人。
大通りにでれば、もしかしたら会えるかもしれない・・・。
しかし、それは人間とは限らない。
少年はそんな賭けに人生を捨てる気もないし
何より今は大切な人が後ろにいる。
「マスターの生命力40%・・・クルス危険です。緊急自動スキル発動」
先ほどから黙っていた彼女のMMAはそういうと緑の光をシリアにかける。
大きさはピンポン玉ぐらいで妖精のような羽が左右に2枚ついた飛行物体。
「ありがと。ココ」
自分たちのあとをひらひら飛んでいたココに目を向ける。
「マスターの生命力50%・・・すみません腹部の出血はとめれません。これでは体は癒せても
生命維持が非常に困難です」
表情はないが申し訳なさそうにひらひら飛ぶ相棒にシリアは苦笑をひとつかえすのが精一杯だった。
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