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そんなときだ、
「ぐるる・・・」
低いうなりとともに自分たちの影から影があらわれた。
「!!!」
少年は全力で走った。
まだ、光はある。
というのも、今の影では直接の危害を受けることはないと確信していたのだ。
シャドーウルフは自らのかげを自分中心に直径50mまでしか具現化できない。
しかも、獲物に物理的ダメージを負わせることができるのは獲物が10m圏内にはいってからなのだ。
先ほどからシリアの取得魔法「サーチ」をココは補助発動しているためココから半径15m以内には
魔獣は存在しない・・・。
よって、今のは偵察用と判断できたのだ。
しかし、見つかっているのには変わりはない。もたもたしていると本体がすぐに追いついてくるだろう。
「クルス・・・あたしをおいていって・・・」
背中のほうでかすかに声が聞こえたが、クルスは聞かなかったことにする。
この町にやってきて半年・・・餓死寸前だった自分を身元を打ち明けない自分を、
シリアの両親は快く向かえ短い期間ではあったが家族のようにあつかってくれた。
シリアも自分が欠陥品だと打ち明けると、そんなことはないよと笑って否定してくれた。
あたたかかった。うれしかった。こんな自分にも「生きたい」という感情があったと思え幸せな気分だった。しかし、
そんな両親も魔獣に深手をおったシリアを守るため「娘を頼む」と言い残し魔獣にたちむかていった。
おそらくはもう・・・。
頼まれたのだ約束したのだ。
クルスは限界の肺に渇をいれ必死に走った。
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