気づき

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 その日は休みだった。休みと いえば字の如く、毎日の疲れを 癒す為に日がな一日体を休める 為だけの日である。  体を休めると言っても実は、 疲れているのは体ではない。  社内から疎外される身の気の 重みが、単純な仕事に疲労度を 増していた。  秋晴れのその日、ふと窓から 見上げた青い空に誘われる様に 『散歩にでも出掛けてみるか』 などと柄にもない思いが浮かん で来た。  独りの身に相応しい、小さな 冷蔵庫の中の食糧も底をついて いる。買い物がてらモソモソと 散らかった部屋を這い出す事に した。 .
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