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次の日から、引っ越し準備に追われた。 もともとそんなに荷物が多かった訳じゃない。 だけど、何年も住んでれば、それなりに荷物はあるわけで、 「引っ越しって結構面倒だな…。」 何て呟いたりもする。 「弥生、これは運んでいい物?」 車へと荷物を運んでいた圭が戻って来て聞く。 「あ、うん。」 箱を確認して頷けば、抱えて運ぶ繰り返し。 後は処分する物ばかりが部屋に残されていた。 ここを出る日が来るとは正直思って無かった。 「弥生?もう他には無い?」 「あ、うん。」 ぼんやり部屋を眺めていると、後ろから圭に抱きしめられた。 「さっき、お母さんに連絡しといたよ。」 「へぇ…」 無関心を装って告げる。
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