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「雨宮さん、すみませぇん…。今日、大事な用があってぇ…」 2コ下の後輩、名倉さんが、甘えた声を出す。 …残業代わって下さい。 「いいよ。」 最後まで聞くまでもなく返事すると、上目遣いだった目がパァと輝く。 その無駄な仕種がまだ通用する若さが羨ましい…。 いや、可愛くなければダメだから、元々私には無理。 「じゃあ、これお願いしまぁす」 書類を受け取り内容を確認する。 「はい、やっておくね」 就業5分前の出来事。 こんな事は日常茶飯事。 別に用事もないし、帰っても一人だから何の問題もない。 残業と言っても簡単な打ち込みだったので、1時間もかからなかった。 机の周りを整頓して帰り支度をしていると、不意に頭上から声が降って来た。
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