世界のはじまり

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 幼い頃から…いや、生まれた時から僕は孤独だった。 物心ついた時には、他人どころか肉親さえ、僕を恐怖の目で見た。 僕が不思議な音がすることや、皆が口を動かさなくとも思っていることがわかるよ、と伝えたからかもしれない。 (この子普通じゃない!) (私達の子であるはずない!) …何がいけないの? (気持ち悪い) (また覗いているんじゃない?怖い…) …誰も僕を見なくなった。存在しなくなった。  僕はどうしたらいい?  4歳になると、両親は僕を施設へ預けた。僕は必死で抵抗した。小さな手を伸ばしたが、包んでくれる温かい手など有りはせず、そのまま宙をきって、うなだれた。 …誰も愛してくれない。  施設でも孤独でいた。 (気味悪い) (近寄らないで) そのまま歳だけ重ねていくうちに、自分が他と違うことに気づいた。 僕にわかる音や匂いに、皆が気づかない。この感じる声は、人が脳や心でいっている声だと。だから普通じゃないって。  …普通じゃない? 誰が決めたの?普通の基準なんて。僕が普通で、皆が普通じゃないのかもしれないよ? 気持ちや心が、歪んでしまっていた。それからは皆が普通じゃない、と自分に言い聞かせた。  僕は…僕こそが普通なんだ、と。
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