1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
それまでは自分がいけないのか、どうにか皆とうまくやれないかと考えたこともあった。
しかし、自分が普通だと思い始めると、周りを責めた。
自分は悪くない、周りが悪いんだと。
それからは段々と負の気持ちが蔓延した。いつしか自分から人を避けるようになった。
本ばかり読んで、知識ばかり増えていった。
10歳を過ぎる頃には、施設を出た。もちろん行く宛なんてない。止めるものもいない。
施設より、もっと他に何かあるんじゃないか。
ある程度の食糧を手に、ひたすら歩いた。
だが、全く外を知らずに、まして知識もない子供が1人旅など甘かった。
山道を行く途中、パラパラと雨が降り始めた。雨宿りできる木はないかと足を早めた。
次第に雨は激しくなり、走りながら進んでいたその時。
急に足をとられ、視界が回った。身体のあちこちに痛みが走る。…気づけば、山間の谷底へと落ちていた。
地面がぬかるんで、足を滑らせたんだ…と思いながら立ち上がると、腕や脚が傷だらけになっていた。何だか、涙が出てきた。
不思議な力を持ち、気味悪がられる自分。
1人で山道をまともに歩けない自分。
「ははっ…何のための力なんだ?意味ないじゃないか…。」
やっぱり必要じゃないんじゃないか?自分なんていらない存在。
…イラナイソンザイ。
いっそ、このままここで、冷たい雨に打たれながら死んだらどうか。楽になれないかな…。
ぼんやりとそんなことを考えていると、目の前に不思議な光が差した。
最初のコメントを投稿しよう!