居場所

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佐伯さんは、私の履歴書や緊急連絡先などから、複雑な事情はよくわかっていた。 だから、月・木・金・土の私の来る日は、夕飯を必ず作ってくれる。 ありがたい反面、やりにくい感じがある。他人なのに、どうしてここまでしてくれるのか、理解できなかったからだ。 「休憩室に入ってなさい。あとはやっておくから。」 淹れたてのコーヒーを差し出しながら、佐伯さんが言った。 「ありがとうございます」 小さくお辞儀をして、受けとると休憩室に入った。休憩室とはいっても、自宅のダイニングキッチンのことである。 テーブルの上に案の定、クラブハウスサンドがラップに包んで置いてあった。 デザートまである。 (ポトフは鍋。温めて食べなさい) とメモに書いてあった。
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