謎多き彼

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チャイムが鳴り、現国の先生が教室に入ってきたために、会話は終了になった。 吉井は席をくっつけていようと思ったらしいが、先生に気づかれて注意され、渋々元の位置に戻った。 離れる際に、こっそりと、 「また話聞かせてよ」 と耳打ちした。 ________________________ 昼休みになると、吉井の行っちゃうのー?という仕草を尻目に、私はいつものように、屋上の踊り場に向かおうとした。 吉井には大分慣れてきたが、あの4人グループの輪に入るのはごめんだ。 教室を出たところで、浅尾に呼び止められる。 「さっきはごめんなー。先行っちゃって。」 いや、気にしてないし。 「お前って冷たいよなー」 声に出していないのに、私の表情から台詞を読み取ったらしい。
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