謎多き彼

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「椎名先輩となんかあったの?」 面倒だなぁと思いながら、気になっていたことを聞くと、浅尾は、あーと言い難そうに頭を掻いた。 「さっきも言ったように、サッカー部の先輩なんだけど…まぁ、ちょっとね。なんつーの。色々あるんだよ。でも…あんな顔するんだなぁ。いつも鬼のような顔しか知らなかったからなぁ。」 遠くを見るような、何かを思い出しているような表情で、浅尾が呟く。 「……あの先輩、そんなに怖いの?」 深く頷く浅尾。 「まじで、この世の中に鬼が存在するなら、ああいう人のことを言うんだな。」 それ、最早人間じゃないってことだろうか。 「あの人から、直接友達になろうって言われたの?それとも実は昔からの知り合いなの?」 本当に不思議だ、という表情で、浅尾が尋ねてくる。
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