小さな森の奥の小さな家

7/17
前へ
/911ページ
次へ
「勝手に、人物像だけ、できてくんだよ。俺は何も特別な人間じゃない。」 いつもと違う、吐き捨てるような言い方に戸惑ってしまう。 「ごめん。」 そんな私を見て、はっとしたような表情をすると、罰が悪そうに先輩が呟いた。 「俺、何も持ってないよ。何も持たずに、出てきたんだから。」 蒸らし時間を過ぎたのか、先輩がカップに紅茶を注ぐ。 カチャという音をたてて、目の前に湯気のたつカップとソーサーが置かれた。 「どうぞ」 そう言うと、先輩は向かいの椅子に座った。
/911ページ

最初のコメントを投稿しよう!

903人が本棚に入れています
本棚に追加