903人が本棚に入れています
本棚に追加
その表情を見るだけで、胸が締め付けられるようだった。
「ごめんなさい。立ち入ったことを訊いてしまいました…」
無神経だったかと肩を落とした。
「いや、いいよ。ぜんぜん大したことじゃないし。千晶は?どうして一人暮らしなの?」
絶対、仕返しなような気がする。
これじゃ答えないと、私が悪い気がする。罠に嵌った感じ。しかも私は先輩のことがわかったようで、実は全然少しも理解できていない。
「親が…」
極力短く説明できるように言葉を探そうと、目が宙を彷徨う。
「私を捨てたから。」
そう。短くまとめると、そうなのだ。
最初のコメントを投稿しよう!