封じられた想い

3/25
前へ
/911ページ
次へ
「待って!」 目の前には、白い天井。 私の手はそこに向かって伸びて、何かを掴もうとしている。 相変わらず殺風景な私の部屋。 カーテンの隙間から朝の光が射し込んでいた。 「…夢、か。」 リアルな夢だ。何度も何度も、昔は繰り返し見た夢。 この記憶だけは、廃れることを知らず、かといって輝いてはくれない。 顔を手で覆うと、生ぬるい感触が肌を伝っているのがわかった。 「泣くなよ、自分。」 呆れたような声を出す。 泣いたら、負けだ。
/911ページ

最初のコメントを投稿しよう!

903人が本棚に入れています
本棚に追加