封じられた想い

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触れそうで触れない、この距離が、胸を痛くさせる。 その痛みを紛らわすように、 「先輩は、大学受験、しないんですか?」 と訊いた。 言ってしまった後で、しまった、と思ったが、遅かった。 この系統の質問に、彼が答えないことは、重々承知していたからだ。 そして、少なからず、彼の気持ちに波風を立ててしまうことも。 黙り込んでしまった先輩を横目に、隣に膝を抱えるように座ると、心の中で、自分の馬鹿さ加減を戒める。 「……佐伯さんには」 ぽつり、と落とした彼の言葉に、思わず姿勢を正す。
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