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ざわついていた教室内も、それそれが席に着き始め、静かになりつつある。
―休みかな。
頬杖をしながら、その可能性もあることに気づく。
「ホームルームはじめるぞー」
担任の間延びした声が響いた。
その時だった。
―来た。
自転車に乗りながら、急ぐ気配もなく、ゆっくりとだるそうに、門を通り過ぎた。
色素の薄いその髪が、陽の光で透けて、タイミングよく吹いた風が、彼のそれをきれいに揺らした。
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