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「俺、しばらく毎日バイトにでることになったから、よろしくね。」
「え」
キーンコーンカーンコーン
会話を遮るかのように、昼休み終了の鐘が鳴る。
それを聞きながら、先輩はすっくと立ち上がって、何事もなかったかのように、屋上の入り口まで歩いていく。
あ、と振り返って、
「佐伯さんには俺から伝えておくから」
と言うと、颯爽と立ち去った。
なんとも言い難い、中途半端さを心に残し、私はまたしても動かぬ人になった。
驚きの声と共に、うっかり上げた目の端でとらえた、彼の満面の嘘くさい笑みが、視界を占領したままで。
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