拒否反応

2/13
前へ
/911ページ
次へ
カランカラン 「あーおかえり。学校どうだった?」 少し息を切らして、店に入ると、佐伯さんが笑顔で迎えてくれた。 「普通でしたけど、少し居残りさせられて、いつもよりぎりぎりになってしまって、ごめんなさい。」 連絡を入れていなかったことに気づいて、慌てて謝罪する。 「間に合ってるから謝ることないよ。それに孝一くんから聞いてたから。」 そう言って、奥のテーブルで接客している彼に目をやる。 「…どうして、彼、毎日入ることになったんですか?」 エプロンの紐を腰でリボン結びしながら、声をひそめて、尋ねる。 「なんか、早く慣れたいっていってたのと、お金にちょっと困ってるみたいだから、かな?まぁ、僕も今は余裕があるからできるけど。この体制はしばらくだけかな。落ち着いたら戻すから。だから、ちょっと我慢してくれる?」 「…わかりました。」 手を洗いながら返事をして、自然と溜息をついていた。 佐伯さんが、そんな私のそばにきて、 「でも、千晶が居残りなんて珍しいね。何かあったの?」 と、こそっと聞いてきたが、私は曖昧に笑って、言葉を濁した。
/911ページ

最初のコメントを投稿しよう!

903人が本棚に入れています
本棚に追加