ハジメテノトモダチ

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慌てて、パンをコーヒーで流し込むと、制服に着替えて、鞄を引っつかんで家を出た。 空は今日もきれいに晴れ渡っている。 自転車で坂道を下ると、風を体に思い切り受けて、寒い。 そろそろマフラーする時期かな。 かじかんだ手でハンドルを握りながら、手袋も必要だなと思った。 しばらくすると、見覚えのある森と白い家が見えてくる。 その正体がわかってしまった今、以前のように不思議に魅せられているかのような、惹かれる想いはなくなって、反対に心が温まるような、ほっとするような安心感が生まれていた。 でてくるかな。いや、やっぱり出てこないほうがいいかな。 期待と困惑が入り混じったような、複雑な気持ちで、前を通り過ぎる。 ちらっと見えた家の外壁に、先輩の自転車がまだ立てかけてあったのが見えた。 間違いない。 私は、確信した。 椎名先輩は、遅刻常習犯だ。
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