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環に抱きしめられている菊は、秋平と環の顔をぼやける視界で見ていた。
しかし、ぼやけた中でも2人の笑顔は見て取れた。
「菊……私達も……秘密を守るよ。
"罪人"とかが来ても護れる自信はない。
けど、菊を置いて逃げたりはしないから……大丈夫」
「まぁ……俺達も魔法や何やらは分かんねぇがぁ、力にはなれるぜぇ……。
困った事があったら言えやぁいいしよぉ、そのスゲェ力の練習台にでもなってやるからよぉ」
更に、満芽と春威に同意する様に頷くXクラスの仲間達。
「……ふん、誇らしいでありんすなぁ……こんな素晴らしい生徒を受け持てるとは」
「まぁな……頼りねぇかもしれんが、頼ってくれや」
「皆さん……っ!!
……ありがとうございます……ひっくっ!!」
自分を護ってくれる、頼らせてくれる。
そんな仲間達や教師がいて、本当によかったと菊は思う。
まだ子供の菊には、些かデカすぎる重圧だった。
しかし、菊のそれは軽くなった様に感じる……仲間達のおかげで。
「し~つれい、ま~力増強薬をと~どけに来たぞ」
「……ありがとうございます。
保科先生」
「ど~ういたしま~して。
ん~じゃ、私はこ~れで~」
その時、裏口のドアが開き……試験官を3本持った彌志が爛々と入って来た。
聞かれたかと思い、バッと振り向き警戒をする彼らだが、秋平に魔力増強薬物を渡して早々に出ていった為、杞憂だったと息を吐いた。
『魔力増強薬の手配が終わりました。
これより、試合を再開します……昔連先生、秤先生……ダイスを振って下さい』
「……よし、一丁行って来るか!!」
「あれぇ~、昔連先生やる気になっちゃったぁ~?」
「ああ……東雲の話を聞いたら、頼れる教師になっとかなくちゃぁな!!」
「昔連先生……」
そして、遂に晶羅から再開が宣言される。
幽羅が気合いを入れると、ラックが不思議そうな顔をした……それに答えた幽羅は、菊の方を見て口の端を上げてベンチから出て行った。
そして、しばらくした後……ダイスの目が響から発表された……。
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