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彼らは、目の前で呆然としている奇跡の存在を目を見開いて見ていた。
「……そんな力持ってるんじゃ……治癒魔法で瀕死を治すなんて事は出来ませんよ。
扱いが難し過ぎる……聖ヴァチカンに渡ったとしても、誰にも教える事が出来ない──
"神"に匹敵する力です。
……言うならば、聖母マリアの生まれ変わり……。
……分かりますね、菊ちゃんの情報と菊ちゃん自身を死守しなくてはならない理由が……。
もう、話しても構いません」
そして、そう締め括り秋平は口を開いてもいいと言う。
しかし、誰も話せない。
スケールがデカすぎるのだ……馬鹿でも分かった。
たかが魔法学園の生徒が抱え込んでいい物ではない。
「……私が…………人を生き返らせれる……神にも匹敵する……っ!!
…………私……なんでそんな……全世界から……狙わっ………………うぅ~……っ!!」
それを聞いた菊は、頭が混乱していた。
様々な自分に対する情報を脳が処理しきれずに、涙となって溢れていく。
そんな菊に、周りはなんて声を掛けていいか分からなかった。
しかし──
「菊ちゃん……」
「……っ環……ちゃん……っ?」
崩れてしまいそうに震えて泣く菊を、環は支える様に抱きしめた。
「……私……菊ちゃんが凄い存在って分かったわ。
……でも、凄くてもすぐに泣いちゃうのは変わらない。
だから………………私……絶対言わないから!!
菊ちゃんの事護る、"罪人"とか犯罪者とか……太刀打ち出来ない人達が来ても、絶対菊ちゃんを護る…………っ!!
…………菊ちゃんは……動物と話せる私を気持ち悪がらないでいてくれた初めての友達だから……菊ちゃんが特別な存在でも、私は離れない……菊ちゃんが私の気持ち悪がらないでいてくれたみたいに……そんなチンケな私の悩みと同じにするのは違うかもしれないけど、離れないわ……絶対に!!
大丈夫よ!!
聖ヴァチカンの"灯火"様だって、きっと護ってくれる……そうですよね、楸原さん!!」
「……ええ。
"灯火"だけじゃないでしょうね……教皇に話が行けば……おそらくは"枢機卿"レベルの護衛物でしょう。
まず、安心です。
……まぁ、枢機卿が堅物だったら俺達に頼るといいでしょう。
並の犯罪者相手なら負ける気はないですし、責任もありますし」
「だって、菊ちゃん!!」
「環ちゃん……楸原さん……っ!!」
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