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「へぇ~、これがジャックナイフかぁ~。
初めて見るわ、案外重いんだなこれ。
って説明だったな……すみません。
さっきかました時になんか手放したっぽくてキャッチしときました」
かましたっていうのはドロップキックの事だろう。
しかし、"キャッチしときました"って……宙に浮いてるナイフを掴むなんて一歩間違ったら大怪我なのに、すげぇ動態視力と度胸だな。
「一流、危ないから早くそのナイフ下げてよ!!」
「ナイフじゃない、ジャックナイフだ!!」
「変わらないでしょ、そんなこと!!」
「………普通のナイフより本格的なんだよ!!」
「最初の間は何!?
まだ本格的にこだわってるの!?」
「俺はまだ麻婆豆腐を諦め切れないんだ!!」
「ナイフの話をしてるんだって!!
それに麻婆豆腐は今度教えてあげ──
「本当か!?」
「──切り変え早!?」
コントが始まった。
きっとこの二人はいつもこんな感じなのだろう。
「本当にさぁ~……さっきの君といい、三回連続で邪魔が入ると流石に僕も諦めついちゃうなぁ~やんなっちゃうよぉ~」
……正直忘れていた。
ゴメン、"変質者"さん。
「ナイフ取り上げられて上半身のみ服着て下半身丸出しなんて、ひのきの棒しか持ってない駆け出しの勇者よりひでぇな」
言わないであげて一流君、なんか俺も虚しくなってきたから。
「一流、そこはせめて銅の剣くらいは持たしてあげようよ」
そういう問題でもないよ、翔君。
「さぁ~てぇ、君達はぁ~そっち側に集まってぇ~、僕はこっち側ぁ~。
武器はそっち側に渡っちゃったし、ちょうど下半身の装備もこっち側にあることだしぃ~トンヌラ……間違えた、トンズラしちゃおうかなぁ~」
「ノリいいなおい!!
あんたゲーム好きだろ!!」
「「うん、うん」」
そんな時、パトカーのサイレンが聞こえ始める。
変質者はその方向を確認した。
「こりゃぁ~本格的にまずいかなぁ~ここはぁ~
たたかう
どうぐ
さくせん
にげる ≪ 」
「しかし、まわりこまれた!」
「まわりこめてないよ一流!!」
「今のはスカウトするべきだったな、うん」
「遊び人より酷い!!
"変質者"なんて職業ありませんよ!!
というかスカウトって、モンスター扱いですか貴方!?」
なかなかいいツッコミをするな翔君は、気分がいい。
「そして"変質者"は寂しそうな顔をして去っていった」
「清々しい顔してたよ!?」
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