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「っち、あの糞上司……毎回毎回絡んできやがって、腹立つぜ!!」
盛大に舌打ちをして、上司の悪口を言うこの青年…言わずもがなこの物語の主人公である。
「何度も言わなくてもわかってるつうの!!
……つ~かあいつ俺が出来てることが気にくわねぇだけだな。
うん……ぜってぇそうだ、そうとしか考えられねぇ」
若干自意識過剰ではあるが彼がこんな性格でも我慢して仕事を続けているのには理由がある。
誰もが……そう、知らず知らずの内に成し遂げている"かもしれない"夢があるからである。
その夢は、この世に生まれた瞬間から始まるであろう……生まれきた子供が、一生の時間かけて行う親への感謝の気持ち、行動、プレゼント。
そう──
『親孝行』
彼はそれをした覚えがなかった。
小学校で作った物をあげたこともなければ、親に買って貰った道具でやっていた部活でも実績を残したわけでもない。
母の日や父の日、誕生日などにもプレゼントを渡したこともない。
何しろバイトもしていなかったのだ。
買えたとしてもそれは親から貰ったお小遣で買った物になってしまう。
だからこそ、自分で稼いだお金でプレゼントを買って渡していた妹と兄を彼は羨ましく……尊敬していた。
バイトをしたもののすぐに辞めてしまう彼の自業自得でもあるということは彼も自覚してはいる。
特に夢がなかった彼は『親孝行』というものに『夢』と一種の『憧れ』を抱いたのである。
しかし……彼は妹と兄も喜ばせたい気持ちもあった。
だから、親と兄妹を喜ばせたい一心で勉強し努力した成果で果たした一流企業への就職……親は喜んだ。
妹と兄も喜んでくれた。
(次はプレゼントだ!!)
と彼は意気込んで仕事をしている。
だがやはり彼は企業に、いや人間関係に不満があり冒頭の言葉に繋がるのである。
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